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大阪高等裁判所 平成3年(く)162号 決定 1991年8月30日

少年 M・N(昭51.10.17生)

主文

本件抗告を棄却する。

理由

職権をもって本件抗告申立の適否につき案ずるに、保護処分の決定に対しては、少年法32条所定の事由のあるときに限り許されるものであり、抗告をするには申立書に抗告の趣意、すなわち原決定にいかなる法定理由に該当する事由があるかを簡潔に明示すべきものであって(少年審判規則43条2項)、申立書にこれを明示しないでした抗告の申立は、その手続が右規定に違反して不適法であり、抗告期間経過後に理由書が提出されても、その違法は補完されないと解すべきものである。

よって検討するに、本件記録によれば、原裁判所が少年を初等少年院(一般短期)に送致する旨の決定をしたのは平成3年7月26日であり、これに対し付添人弁護士○○並びに法定代理人○○及び同○○から同月31日抗告の申立があったが、その抗告状には「(前略)・・・少年に対し初等少年院短期5ヶ月送致の決定言渡しがありましたが、不服でありますので抗告致します。」という記載があるのみで抗告の趣意を明示せず、その後同年8月20日に付添人弁護士○○から「抗告の趣旨」と題する書面の提出があったが、右は抗告期間(決定後2週間以内)経過後の提出にかかるものであって(なお同年8月13日に法定代理人○○及び同○○から「嘆願書」と題する書面が提出されているが、これを抗告の理由書とみたとしても、やはり抗告期間経過後の提出にかかるものであることに変わりはない。)、結局本件抗告は、その手続が法令に違反してなされた不適法なものであるから棄却を免れない。

(なお本件記録を調査しても、原決定には処分の著しい不当があるとは認められない。)

よって、少年法33条1項、少年審判規則50条により主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 村上保之助 裁判官 寺田幸雄 安原浩)

抗告状

少年審判事件

傷害等少年(15才)M・N

右頭書事件について、平成3年7月26日神戸家庭裁判所尼崎支部において少年に対し初等少年院短期5ヶ月送致の決定言渡しがありましたが、不服でありますので抗告致します。

平成3年7月30日

附添人 弁護士○○

保護者父M・J

同母M・E子

大阪高等裁判所 御中

抗告の趣旨

抗告人少年M・N

右頭書事件についての抗告の趣旨は次のとおりである。

1. 趣旨

本件少年院送致決定の取消を願いたい。

2. 理由

(1) 本件傷害は他の共犯者から誘れたもので偶発犯であり犯情軽微である。傷害の程度も軽い。

(2) 右傷害については、各自三万円宛弁償済である。

(3) テレホンカードは返還済である。

(4) 本人は14才の前途ある少年である。

(5) 改悛の情顕著で再犯の虞はない。

(6) 家族は今後の監督を誓っている。

3. 以上の諸事情を斟酌し前記のとおり寛大な処置を願いたい。

平成3年8月20日

附添人 弁護士○○

大阪高等裁判所 御中

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